| がん存在の可能性を示す 腫瘍マーカーってなに? |
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がん細胞が正常細胞にはない、とても特徴的な物質をつくっているとすれば、
その物質が分泌されていることがわかればそれは、腫瘍の存在を意味します。
つまり、がん細胞を証明するのと同様の意味を持つことになります。
そうした物質は長い医学の歴史の中で、多くの研究者が探してきましたが、
まだ発見されていません。
しかし正常細胞でもつくられるが、がん細胞でとくに多量につくられるという
物質が多く発見されてきました。
これで、がんを直接診断することにはなりませんが、
がんの存在の可能性を示すことになります。
こうした物質を 「腫瘍マーカー」 とよび、がんの診断に利用されています。
精密検査とは、がんの形態診断に属しますが、
腫瘍マーカー検査は、がんの機能検査に属するものといえます。
腫瘍マーカーは多くががん細胞でつくられて、
一部は血液や尿の中に出てくるため、
腫瘍マーカー検査は一般的に血液、尿、およびがん組織を対象にして
行われます。
とくに血液や尿を採取するだけで調べることができるから、
腫瘍マーカーの検査は日常的に行われています。
血清腫瘍マーカーの検査は、健常人の値と比較してその異常を判定します。
健常の人の約95%が示す値の範囲を 一応 「正常領域」 と仮定すると、
その最高値を基準値とよび、それをこえる値が問題になります。 |
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| がんと腫瘍マーカー |
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下の表に各臓器のがんに利用価値の高い腫瘍マーカーを示しています。
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| 肺がん |
CEA、シフラ、NSE、ProGRP |
| 甲状腺がん |
CEA、カルシトニン、サイログロブリン |
| 食道がん |
SCC、CEA |
| 胃がん |
CEA、CA19−9 |
| 結腸/直腸がん |
CEA、CA19−9 |
| 肝臓がん |
AFP、PIVKA−U |
| 膵臓がん |
CA19−9、CA50、エラスターゼ |
| 乳がん |
CEA、CA15−3 |
胆嚢がん/
胆管がん |
CA19−9、CEA |
| 卵巣がん |
CA125、STN |
| 子宮頸がん |
SCC |
| 前立腺がん |
PSA、PAP、γ−Sm |
| 膀胱がん |
BEP |
| 睾丸腫瘍 |
AFP、Alk−P、hCG |
| 絨毛がん |
hCG |
| 骨腫瘍 |
Mたん白、ベンスジョーンズたん白 |
このなかで、とくに臨床的に有用な腫瘍マーカーは、
肝臓がんのAFPやPIVKA−U、卵巣がんのCA125、
小細胞肺がんのProGRPやNSE、
絨毛がんのhCG、前立腺がんのPSA、骨髄腫のMたん白などです。
CEAも重要な腫瘍マーカーで、多くのがんで値が高くなりますが、
とくに大腸がん、乳がん、肺がんの診断に役立ちます。
CA19−9は、膵臓がんや胆のうがんのとき血せい中に増加します。
これらの腫瘍マーカーは、それぞれのがんの場合に、
50〜80%の確率で血せい中で基準値を超えます。
また、骨髄腫では尿の中に 「ベンスジョーンズたん白」 という
特殊なたん白がみられ、このたん白が見いだされる場合、
ほぼ骨髄腫にまちがいありません。
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| 腫瘍マーカーの問題点 |
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現在、診断に利用されている腫瘍マーカーには、大きな問題点が2つあります。
■1つめ
腫瘍マーカー物質は必ずしもがん細胞のみが分泌するものでないため、
基準値を超える場合、正常、良性の疾患、およびがんを
区別しなければらないという点です。
したがって、現在、腫瘍マーカーを測定するだけでがんを診断する事は、
特殊な場合を除いて不可能です。
なお、がん以外で腫瘍マーカーの血清値が基準値を超える場合を
「擬陽性」 とよび、
擬陽性率の高い腫瘍マーカーは、がんの診断的価値も、当然低くなります。
■2つめ
早期がんの場合には、基準値を超えることが少ない点です。
腫瘍マーカーの検査で早期がんをみつけるのは現時点では困難です。
しかし、以上の問題点をもちつつも、腫瘍マーカー検査は
治療効果の判定やがん患者の経過観察には、
画像検査より有効な場合もあります。
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