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 精密検査と診断
 精密検査ってどんなことをするの?
本人がからだに異常を感じたり、集団検診で疑いがあった場合に、
がんでないか確かめるために行なわれるのが精密検査です。

X線やCT、MRI、超音波、内視鏡などによる画像診断、
病変部の組織や細胞を採って調べる病理学的検査、
血液や尿の中の腫瘍マーカーを見つける検査が、その主なものです。

がんは、一つの検査だけではっきり診断できることは少なく、
病変部のある部位や広がりによって、
いくつかの検査を組み合わせて確定されるのが一般的です。
 X線検査
X線で撮影した臓器や組織の濃淡の影からがんを鑑別するもので、
特殊な方法や装置を用いない単純撮影と、造影剤を使う方法があります。


単純撮影 

つぎのような部位の場合には、単純撮影による写真でも、
十分に精密検査として役立ちます。

胸部単純X線写莫は肺がんや縦隔腫瘍の検査に有効です。

専門家は円形の腫瘡の陰影から90%の確率で肺がんを推定することが
できるといわれています。

骨腫瘍や骨髄腫の場合は、骨X線写真で局部的に骨の陰影が濃くなったり
薄くなっている箇所を見て診断します。 

また、乳がんの検査には、低電圧によるX線を用いた
マンモグラフィー(乳房X線撮影)が多く使われており、
しこりになる以前の微小ながんも発見されるようになっています。


造影撮影

胃や大腸、胆嚢や腎臓などの臓器は、単純撮影では病変が
はっきり識別できません。

そこで、ヨード剤やバリウム剤などの造影剤を目的の部位に送り込んで、
コントラストの強い画像を得るようにするのが、造影撮影です。


食道、胃、十二指腸のがんの検査(上部消化管造影)ではバリウムと発泡剤を
飲みますが大腸がんの検査(注腸検査)ではバリウムと空気を肛門から
送り込み、胃や腸の粘膜のひだが鮮明に見えるように撮影します。

これは二重造影法と呼ばれ、病変の範囲や深達度(がんが浸潤している深さ)
などが推定できて、早期がんも容易に発見できます。

胆嚢や胆管のがんの検査では、
ヨード剤を点滴で静脈注射してX線撮影します。


内視鏡を挿入し、十二指腸につながる胆管から造影剤を注入する
内視鏡的すい胆管造影法(ERCP)や、腹部の外側から針を刺して
肝臓内の胆管にヨード剤を注入する経皮経肝胆道造影(PTC)が行なわれる
こともあります。

そのほかに、からだの各部位の造影検査として、脳室造影、唾液腺造影、
気管支造影、腎盂造影、膀胱造影、子宮卵管造影などがあります。

また、疑わしい臓器の血管を調べる血管造影は、精密検査としてとくに重要で、
肝(臓)がんや腎(臓)がんなどによる血管の走行状態の変化や腫瘍の
悪性度をみるのに有効です。

なお、比較的簡単にすむ上部消化管造影を除き、造影検査は入院して
行なわれるのが一般的です。
 CT検査(コンピュータ断層掘影)
X線の人体透過度をコンピュータで計算し、その変化を画像化した断層写真を
用いて診断します。からだの任意の箇所を輪切りにした鮮明な画像が得られ、
従来のX線撮影では不可能だった臓器や血管の状態が識別できるように
なりました。

直径約1センチのがんなら診断が可能だといわれます。
頭部では脳腫瘍や上顎がん、上咽頭がんなどの頭頸部がんの診断に
めざましい効果があり、また肺がんや縦隔腫瘍、
あるいは縦隔のリンパ節への転移を診断するのに欠かせない検査です。

腹部では、肝がん、膵(臓)がん、腎がん、卵巣がん、
骨盤内臓器(子宮、膀胱など)のがんなど、
おもに実質臓器(内部が空洞でなくつまっている臓器)のがん診断に
とくに威力を発揮します。
腹部のリンパ節腫大もはっきりわかります。
 MRI検査(磁気共鳴画像診断)
磁力を用い、コンピュータによってからだの断面を画像化する検査法です。
からだの輪切り像だけでなく、縦や斜めなど、あらゆる方向の断層写真が
鮮明に得られる利点があります。

血液や筋肉、内臓などの状態をみるのにすぐれ、骨に囲まれた部分の
脳腫瘍や脊髄腫瘍、脳へのがん転移などの診断にはとくに有効です。

最近では、MRIを用いて、造影剤なしに血管の構造や血流の状態を鮮明に
写し出すMRA(磁気共鳴血管造影法)という検査法も開発されています。
 RI検査(シンチグラフィー)
ガンマ線などの放射性同位元素(RI、ラジオアイソトープ)を静脈注射し、
体外に放出される放射線を撮影して診断する検査法です。
甲状腺や肝臓、腎臓のがん、骨転移したがんなどの診断に使われます。
 超音波検査
弱い超音波をからだにあて、
臓器や組織からの反射波を画像化して診断します。

まったく苦痛がなく簡単に操作できるので、
甲状腺、乳腺、肝臓胆嚢、膵臓、腎臓、前立腺、膀胱、子宮、卵巣など
各科の診断に広く使われています。

ただし、超音波は骨や空気を通りにくいので、
骨や頭蓋骨内の脳、内部に空洞のある肺、胃、腸などの検査には、
あまり適しません。

そこで、肺や胃腸では内視鏡の先端に超音波診断装置をつけた
超音波内視鏡検査も行なわれています。
 内視鏡検査
細長い管(ファイバ) の先端についたレンズで体内を直接見たり、
撮影することができます。

肺がんには気管支内視鏡、
食道、胃、十二指腸のがんには上部消化管内視鏡、
大腸がんには下部消化管内視鏡が用いられます。

先端につけた装備で、がんの病理診断を行なうために病変部の組織を
採取したり、同時に治療が行なわれるなど、
がん診療の重要な手段となっています。

そのほかにも、肝臓、胆嚢を調べる腹腔鏡検査、婦人科の膣拡大鏡、
秘尿器科の膀胱鏡など、各科特有の形をした内視鏡が用いられています。
 病理学的検査
がんの診断は、最終的にがん細胞を確認することで初めて可能です。

画像診断などの精密検査で疑われる病変部の細胞や組織を採取して、
顕微鏡でがんであるかどうかを確認する検査が病理学的検査です。
これには、細胞診検査と病理組織検査があります。


細胞診検査 

採取した検体の中に1個でもがん細胞が見つかれば、がんと診断します。
たんや気管支洗浄液で肺がん、膣分泌液で子宮頸がん、尿で膀胱がんや
腎がん、リンパ節穿刺(針を刺して採取する)で悪性リンパ腫や
リンパ節移転がん、胸水や腹水でがん性の腹膜炎や胸膜炎が診断できます。

このうち、簡単に採取できるたんと膣分泌液は、肺がんと子宮頸がんの
集団検診に利用されています。


病理組織検査

病変の認められる臓器組織の一部を摘出して、がん化した細胞集団がないか
を検査するものです。

治療前の確定診断のために摘出する場合を生検(バイオプシー)といい、
内視鏡検査の際にもよく行なわれます。この検査によって、がんの種類や悪性
度、がんの広がりなどがわかります。
治療方針を決定するために欠かせない情報を与えてくれる重要な検査です。
 腫瘍マーカー
腫瘍が発生すると、血液中に含まれる量が増えたり、
血液中に新たに出現したりする物質があります。
それを腫瘍マーカーといいます。

がんが発生すると、この腫瘍マーカーが陽性になるのですが、
良性腫瘍や腫瘍以外の病気でも陽性になることも多く、
陽性になれば必ずがんというわけではありません。

ほかの検査結果と照らし合わせて、がんかどうか判断します。

また、がんができたときだけ、血液中に出現してくる物質があると
考えられています。

これはがん特異抗原と名づけられ、がんを特定する有効な診断法として
期待されていますが、まだ確実な物質は発見されていません。
 部位別・がん診断に有効な精密検査
がんの部位別に有効な精密検査方法をまとめてみました。

 脳腫瘍  CT、MRI
 肺がん  X線検査、CT、ヘリカルCT
 シンスライスCT、気管支ファイバースコープ
 喀痰細胞診、腫瘍マーカー
         (CEA、シフラ、NSE、ProGRP)
 乳がん  マンモグラフィー、超音波検査
 甲状腺がん  超音波検査
 食道がん  上部消化管造影、上部消化管ファイバースコープ
 胃がん  上部消化管造影、上部消化管ファイバースコープ
 結腸がん
 直腸がん
 注腸造影、ファイバースコープ(S状結腸、大腸)
 肝臓がん  超音波検査、CT、MRI
 血管造影(CT−ANGIOも)
 腫瘍マーカー(AFP、PIVKA−U)
 膵臓がん  ERCP、PTC、超音波検査、CT
 腫瘍マーカー(CA19−9)
 卵巣がん  CT、MRI、超音波検査、腫瘍マーカー(CA125)
 子宮頸がん  子宮膣部内視鏡、膣・頸部擦過細胞診
 前立腺がん  超音波検査、腫瘍マーカー(PSA)
 腎臓がん  CT、超音波検査、血管造影
 膀胱がん  膀胱鏡、尿細胞診
 精巣(睾丸)腫瘍  腫瘍マーカー
 絨毛がん  子宮内膜細胞診、組織診、腫瘍マーカー(hCG)
 骨腫瘍  X線検査、骨髄穿刺、腫瘍マーカー
 白血病  血液細胞検査、骨髄穿刺
 悪性リンパ腫  CT、リンパ管造影、リンパ節生検

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